(ぽたぽたと水の滴る音が気になって振り返ると風呂上りで
髪も乾かさずに水滴を床に落としながら歩くバーナビーが視界に入り)
「おいおい、待てバニー!」
(タオルを片手に慌てて歩み寄り濡れたままの相手の腕を引いて、
自分が座っていたソファの手前に座らせ
頭からタオルを被せ力任せにガシガシと水気を拭き取り)
「…虎徹さん、飲み物取りに行きたいんですけど…」
(冷蔵庫があるだろう方向を指差して、タオル越しに視線を向けてくる)
「もう少しでふき終るから大人しくしてろ。…ってか、お前の髪の毛柔らけぇなぁ、ふわっふわじゃねぇか。」
「おじさんの髪が剛毛過ぎるんですよ。髭とか、下手したら指に刺さるんじゃないですか?」
「っせぇよ。髪が刺さったことはあっても、髭はまだない。」
(いつか刺さりますと言われながら髪を拭き終えると、
ふとした興味本位でバーナビーの頭に鼻を埋める。
下から抗議の声が聞こえてくるが、お構い無でいると暫くして静かになり)
「何か匂います?」
「んー?バニーお前さ、俺と同じシャンプー使ってるんだよなぁ…?」
(他にありませんしと答えを聞きつつも納得のいかない表情をしていると、
痺れを切らしたかのようにバーナビーの頭が動き見上げてくる)
「気になるんで言ってください。」
「…体臭の加減か?同じものを使ってんのにこんなにも香りが違うもんなのかと…。ぁ、変な匂いとかいうんじゃないぞ?」
(妙な間が空くのに気まずくなり、何かを喋ろうとした矢先)
「………。虎徹さんもつい先ほどシャワー浴びましたよね。」
「ん、浴びたぞ?今日は寒かったからなぁ…。…それがどうかしたか?」
(突拍子もない質問がくるのとバーナビーが立ち上がるのがほぼ同時
だったろうか、いきなり立ち上がる相手の頭に顎をぶつけるのを
寸でのところで避けるとソファの背凭れに思い切りよく背中が沈み)
「あっぶねぇな、って…何してるんだ?」
「どれだけ違うのか気になりました。」
(ソファの背凭れに沈んだ自分に覆いかぶさる様、
バーナビーがソファに片足を掛けて先ほど自分がしていたように髪の香りを嗅いでいる。
暫くは相手の成すがままに身を任せるも
行為が長くなると流石に相手の心中が気になり始め)
「な、なぁ…バニー。おじさんの匂いをそんな熱心に嗅がれると気になっちゃうんだけど?」
「安心してください。虎徹さんのモノで嫌な物なんてひとつもありませんから。」
「や、そうじゃなくて、ね。もし加齢臭とかしてたら、俺が気にするじゃない?」
「………。加齢臭も虎徹さんのモノには変わりないですけど香ってませんよ。…すごく甘い虎徹さんの香りしかしてません…。」
(蕩ける様な吐息と共に耳元に囁かれ、びくっと肩を
弾ませると慌てて相手の顔を顎下に手をやって上向かせ)
「はいはい、わかったから耳元で言うな。おぞぞってくんだろ…。」
(耳が弱いんですねとか言う相棒の耳を引っ張ってやると
耳をしょんぼり垂らした兎が見えるような気がして)
「あーっもう、お前その顔反則だっ。」
まあ、そんだけですね、うん。
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