(今日は虎徹さんが楓ちゃんを伴って、僕と3人でデパートに行くことになってる。
待ち合わせの時間にいつも通り遅れてくる虎徹さんを叱りながら楓ちゃんと二人が
待ち合わせ場所に来た)
「悪ぃ、待った?」
「待たせてるに決まってるでしょ、お父さん!」
「あー、いえ、僕もまだ来たばかりなので・・」
「バーナビーさん、お父さんに甘すぎだよっ。だから時間にルーズな
駄目男になるんです。」
(返す言葉が見当たらないため、黙っていると頻りに楓ちゃんの横で
小さくなる男の姿に苦笑を浮かべてしまった)
「っもう、30分も遅刻してるんだからね!急いで、行かないと
目的のお菓子売り切れちゃうよ。」
「そうですね、早速中に入りましょう。
幸いそんなに多くの人が入って行った様子はありませんから・・
まだ、間に合うと思います。」
「さっすが俺のバニー!よーし、一杯美味いの買い込むぞっ」
(そう今日は虎徹さんと、僕との同棲祝いなのだ。楓ちゃんに打ち明けた時は、
なんて無計画な男だと虎徹さんを叱ったものの、お父さん譲りのいい子で
すんなり僕らの関係を受け入れてくれた)
「確か地下にシュテルンビルトで有名なケーキ職人が店を出していると、
聞いた事があります・・。」
「お、じゃあ・・まずはそこだな!」
「賛成!美味しいのをピースで買おうかな、ホールで買おうかな
・・もうドキドキしちゃうっ。」
「楓ちゃんはケーキ好きなんだね。今日は僕と虎徹さんで奢るから
一杯買っていいよ。但し、食べられる分だけ・・ね?」
(大きく何度も頷く楓ちゃんの頭を撫でると、俺も混ぜてくれと虎徹さんが
背後から僕と楓ちゃんを抱きしめてきた。
全く、周りの目というものを気にしないにも程が過ぎるっ)
「虎徹さん、今日のミッションを覚えていますか・・?」
「え、あー・・えー・・目立たず、確実に本日のデザートを・・ゲットする??」
「はい、良く出来ました。では虎徹さんは出来てしまったこの人の輪を
ひとっ飛びしてもらいケーキ屋さんに無事僕等を送り届けてくださいね。」
「・・えっ?!いや、ここ天井低いし・・それにこの人だかり納めてからじゃないと
店側に迷惑がかかるだろ・・。」
(それもそうだ。そしてきっとこのおぢさんは僕を生贄に
この場を切り抜けようとしているのだろう)
「虎徹さんにも手伝って頂きますからね・・。」
「──・・ふぇぃ。」
(楓ちゃんは僕等をみると、二人の背中を思い切りよく叩き送りだしてくれた)
「さあ、行きますよ・・虎徹さん!」
「はいはい、おぢさんだから労りながら宜しくな、バニーちゃん。」
多分続く・・
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